たまごのひよこ「医」日記

たまごのひよこ(twitter: @chicken7egg)です。学生時代に書いていたブログの保管庫。移転したのでリンク使えない部分もありご不便をおかけするかと思います。

マッキンゼーでも活躍できる、「根性」に逃げない生き方

前回公開した、臨床医にも研究は必要!オススメ参考書Best3という記事のおまけに書いた安宅和人さんの本が、意外と検索に引っかかっていることに気づきました。

ということで今日は、おまけではなくメインテーマにして取り上げていこうと思います。

友人の紹介で今後のためになるかなり面白い本で、私も読んで色々学ぶことができたので、この機に紹介させていただきます!

大層なタイトルをつけさせていただきましたが、筆者の経歴も本の内容も本当に面白くて、この表現も大げさではないはずです。

 

著者紹介

内容の前に、その凄い経歴をお持ちの著者の紹介から入ろうと思います。

安宅 和人(あたか・かずと)氏。

東大院で修士号取得後、マッキンゼー勤務。

その後イエール大学神経科学プログラムを普通の人の半分の期間で修了し、博士号取得。

マッキンゼー復帰後、ヤフー株式会社に移り、現在CSOを務める。

何か、もう、半端ないですね。

最近話題の言葉で言うところの、「パワーワード」が立ち並ぶ立派なプロフィールです。

マッキンゼーアメリカの理系大学院と、様々なトップクラスに触れた著者が書く内容は分かりやすくて説得力があります。よく分からない自己啓発書を書いているそんじゃそこらのおっさんとはモノが違いますね(笑)

続いて内容の中で、気になったフレーズを紹介していきます。タイトルの「根性」に逃げない、を徐々に紐解いていきます。

「悩む」と「考える」の違いが分かりますか?

時間をかけてもうんともすんとも行かない問題にぶち当たることは、よくあると思います。

その時に大切になるのが、この「悩む」と「考える」の違い。著者の解釈はこうです。

悩む=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること 考える=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること

そして、「君たちの賢い頭で10分以上真剣に考えて埒が明かないのであれば、それはもう悩んでしまっている可能性が高い」と続く。

言われてみれば私の人生の中にも、とりあえず険しい顔をして腕組みして無駄な時間を過ごした経験は、1度や2度じゃなかったと思います。この違いについての解釈を聞いて、自分の中で凄く納得が生まれ、これは読む価値のある本なんだろうな、という判断が下されました。

「悩む」というのは、プロセスが大事な複雑な家族の問題とか以外では意味がない、という筆者の言葉、今後活かしていきたいです。

やるべきことは「イシュー度」で決まる

この本の一番のポイントは、「イシュー度」という言葉とその定義にあると思いました。

生産性の高い(少ない労力や時間で多くの成果を生み出す)仕事をするには、どうすればいいのか。そう考えた時に、データを収集し整理する段階での時間短縮や作業スピードを高めることに目が活きがちだけれども、「それは根本的に間違っている!」というのが、この本の主張。

仕事の中でも「考える」のような仕事であれば意味があるが、「悩む」に近いことであれば、そもそも取り組む必要がなく、取り組み方を効率化するのではなく取り組まないことが生産性を高めることに繋がるという、先ほどの内容に近い考え方だと思います(無理矢理繋げた)。

ここでやっとイシュー度の説明に移ります。

イシュー度は、「自分がおかれた局面でこの問題に答えを出す必要の高さ」、すなわち「取り組む課題の質」ということになります。

仕事の質は、この「イシュー度」×「解の質」。

両方を高めなければ、生産性の高い仕事をしたとは言えません。

では、具体的にどのようにこの仕事の質を高めるアプローチをしていけばいいのでしょうか。次章に続きます。

「犬の道」に進むな!

先程の仕事の質をグラフ化すると、下のようになります。

この時、イシューの質・解の質ともに高めるには、赤のルートと青のルート、どちらが良いのでしょうか。

それは、圧倒的に青のルートだ、と筆者は言います。

色々な課題に取り組んで「解の質」を高める赤のルートは、根本的に何が大事か分かっていないという点が問題です。時間のかかる割に正解に辿り着ける確率も低く、運よく辿り着けたとしても再現性の低い(=部下が出来た時に同じように指導できる可能性が低い)方法。

医学界に言い換えれば、研究室に若手が来た時に、いい課題の見つけ方を教えてあげることができないから、いつまで経っても若手が成長しない、安定して結果を残せる「いい研究室」にならない、というような感じでしょうか。

実際、学校で時々開かれている海外大学の教授のセミナーで話を聞いていると、驚くほど少ない人数で膨大なPublicationなどの成果を残している研究室があります。そういう所では、この本の言い方ではないのかもしれないけれども、「イシュー度」に基づいた研究を行っているのかな、と思いました。

この赤のルートを「犬の道」と呼び、絶対に避けなければならないと綴っています。

具体的な考え方や伝え方の極意

ここはおまけです。それでもここまで読んできた読者はどうすればいいか分かっているはずという感じで、サクサクと進みます。実際読んでいても、プレゼンや資料作成に向けた内容や図の絞り込みのテクニックは、今まで考えてきた流れあってのものだな、と感じました。

まず発表のアウトライン。自分が疑問に思って調べてきたプロセスこそ、聴衆が知りたい順番になっているはずです。特に時間の短い発表の際は色々派生して調査していたとしても、1つの大きな軸にまとめるようにすることだけは、調べていた時と違うかな、という感じでしたが、概ね変わりません。

図は、1チャート1メッセージになっていること、タテとヨコの軸を磨くこと。一見当たり前のことですが、「プレゼンのテクニック!」みたいなサイトでただ見るのと、ここまでの説明を見た後で筆者の言葉で書かれた説明を見るのとでは、わけが違います(笑)

最後に

ここまで、印象に残ったフレーズを元に組み立ててきましたがいかかでしたか?

聞くより読んだ方がいいと思います、衝撃的でした。オススメです。