たまごのひよこ「医」日記

たまごのひよこ(twitter: @chicken7egg)です。学生時代に書いていたブログの保管庫。移転したのでリンク使えない部分もありご不便をおかけするかと思います。

佐藤弘明著「これだけ心電図」は初学者に最適な入門書

過去記事に何度か登場している、僕が今の勉強法に辿り着く(と言ってもまだ完成していませんが笑)までにかなりお世話になった「コウメイ塾」を運営している佐藤弘明先生が、先日新著を出されました(たまひよによるコウメイ先生の勉強法記事まとめ記事はこちら)。

 

その名は「レジデントのための これだけ心電図(コウメイ塾該当ページへ)」!!!

僕自身、何か勉強したいと思った時には薄い本を一冊読んで、一番大元の原理や考え方、重要な所を学ぶところから入ることが多いです。例えば、

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この2冊はまずサラッと通読したことで、かなり有意義に授業を受けたりテスト勉強をしたり、実習をしたりすることができました。今後は

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この辺りも読んでみたいと思っています。おっと、話がそれました。

 

コウメイ先生もこの勉強法を推奨されていて、記事中で

参考書は大きく講義系と辞書系に分かれます。講義系参考書は特に大事なことが書いてあり、読みやすく通読するのに向いています。ただし、初学者向けのことが多いので、細かい内容や例外は書かれていないことがあります。一方、辞書系参考書は細かい内容も書いてありますが、その分やや読みにくいです。通読するというより、分からないことがあった場合に調べるというのが用途になります。ある程度勉強していないと使いこなすことはできません。 医学に限らず(受験などもそうですが)、何かを効率よく勉強するときはこれらの参考書を使いわけることが大切です。心電図のことをあまり知らない状態で辞書系参考書を読んでも、よく分からず、挫折するだけです。まずは講義系参考書を読むことをお勧めします。

レジデントのためのこれだけ心電図【無料ダウンロードあり】より引用

と書かれています。あ、僕の駄文での説明はいらんかったじゃないか(笑)

 

「これだけ心電図」は、循環器の初学者に心電図の基本的な読み方を教えてくれる講義系参考書です。

この間までポリクリで循環器内科をローテートしていて、患者さんの波形変化を上手く見極めることができなかったことがあり、一念発起して頑張って勉強してやろう!と思っていたところだったので、とても良いタイミングで読むことができました。

ということでレビューしていきたいと思います。

 

感想・読むのにかかる時間・たまひよ的対象読者

正直な感想としては、かなりベタ褒めになってしまいますが、ここまで洗練された参考書は(分野を問わず)読んだことが無いというレベルでした。

波形の解説は、形で覚えるもの→じっくり読むものの順番で、必要な知識を少しずつ適切なタイミングで挿入し、コラムの掲載位置や内容に至るまで丁寧に考え抜かれているところがすごいと感じました。

具体例や詳細は次章以降に書いていきますが、普通なら「とりあえず教えとこ」となるような内容であっても、判読の際に使わない所はバサッと省いてしまっているのが大変印象的でした(そして実際そのお陰で読みやすくなっている)。

 

そのためページ数も少なく抑えられており、図も多いのでサクサク読み進められます。これは1科目1科目にそこまで時間をかけられない初学者の学生や研修医にとって、一番大事なポイントでしょう。

僕は読むのに「2日間の電車移動や隙間時間+自宅での熟読1時間」程度かかりました。おそらく5~6時間程度でしょうか。お忙しい方でも1週間あれば確実に読めると思います。

 

そんな心電図の講義系参考書でありながら、医師として「正しく」努力するための方法にも触れられているのがこの本の特徴です。自分の勉強スタイルがしっかり確立されている方にとっては回りくどく不要な部分になると思うのですが、まだ駆け出しポリクリ生の僕にはとても参考になりました。

ということで、たまひよ的「こんな人にオススメ」集!

  • 定期試験や国家試験、病棟実習のために基本的な波形を知りたい人
  • 危険な波形を見て除細動やコンサルへババっと動けるようになりたい人(一番大事!)
  • カンファで教授に「この波形読んでみろ」って言われて分からなかった時でも、トンチンカンな事を言わずにそれっぽく所見を述べ始めることができるようになりたい人(一見すごくどうでも良さそうに見えますが、突然細かい所から答えだした研修医の先生がこってり絞られているのを目撃してしまったので、多分大事なんだと思います笑)

具体的には、医大生(4,5,6年生)、初期研修医・後期研修医の方が対象でしょうか。読むのに最適な時期は、医学部5年生時と研修医1年目時(ポリクリ・研修の始め)ではないかと思います。

 

恒例!お気に入りフレーズ紹介

早くから学ぶべきだったこと(P.4)

コウメイ先生も人の子です(何目線だよw)。学生時代の勉強法に失敗したな、と思うものもいくつかあったようです。その中で、失敗例3つと共に、早くから学ぶべきだったことを紹介してくださっていました。

それは、「病態と症状」のようです。

もう一人勉強関連でいつもお世話になっている方であるmedu4の穂澄先生も、講座の中で「とにかく疾患は説明の一行目に書いてある病態を簡潔にまとめた部分から覚えろ」と何度も仰っています。

この辺りの説明があったことで、より安心して内容に入って行くことができたと感じました。

ここはブログのカテゴリ「勉強の仕方・禁忌」や「本の一部を無料ダウンロードできる」ページにも詳しく書かれていますので、そちらを参考にして、考え方が合いそうだなと思ったら本を買ってみるというのでもいいと思います。

「アイントーベン三角」初登場(P.108)

誘導の貼り方、そして「アイントーベン三角」という用語が初めて登場したのが、100ページを超えたところだったことに、素直に驚きを感じました。

PQ時間は3〜5mm、と言った正常値の丸暗記を3ページで切り捨て、アイントーベン三角を108ページで登場させる。確かに電極の付け方の問題であって、矢印の向きとかその辺にはそれ以上の理由は無いですからね。流石です。

 

不安定狭心症の病態(P.142)、WPW症候群の分類と治療(P.161)と言った重要事項の説明が正確かつ詳しい

徐々に血管にプラークが沈着していくことによって安定狭心症→不安定狭心症心筋梗塞と進展していく、というのは循環器初心者が陥りがちな大きな理解のミスであり、また頻度が高いこともあってポリクリでも良く聞かれることなのでは無いかと個人的には思っています。

そんな重要な事柄なのに、なかなかこれらの病態・つながりを上手く説明するのは、素人には難しい気がします。この説明が、簡潔で上手かった・・・

 

もう一つ挙げた、WPW症候群のうち発作性上室頻拍になっているものはCCBとBeta blocker使用OK、心房細動になっているものは禁忌というところも、国試的には「細かいところ」になると思うのですが、クルズスなどで話を聞いているとどうやら重要なんじゃないか、と感じていたところでした。

長年の経験から医大生や研修医が間違えそうなところを把握していて、先回りして潰しておくというスタイル。これも穂澄先生と一緒で美しい・・・こんな指導医になりたい僕でした。

 

まとめ

「これだけ心電図」を買う人も買わない人も、

皆でコウメイ塾を見て勉強頑張りましょう!

一部無料で読めるようにしてくださっているので、

とりあえず読んでみて気に入ったら買いましょう。