たまごのひよこ「医」日記

たまごのひよこ(twitter: @chicken7egg)です。学生時代に書いていたブログの保管庫。移転したのでリンク使えない部分もありご不便をおかけするかと思います。

誰のために分厚い内科学書があるのか?ハリソン考。

大層なタイトルをつけてしまいましたが(笑)、ポリクリで先生に雑談的な感じで渡された

「誰のために分厚い内科学書があるのか?」

という、ハリソン内科学を日本で出版しているメディカル・サイエンス・インターナショナル社の医学生向け無料小冊子を読んで、またネットで少し調べていくつか思うところがあったので、感想を書きとめておこうかな、と思った次第です。

自分は今までハリソンについて、「最初の症候論がめちゃくちゃ良いらしいからいつか読まなきゃ」というくらいのイメージしかなかったのですが、小冊子やサイトを見ていてだいぶイメージが変わったので、その辺を共有していきます。

 

実はハリソンの対象は「医学生」〜臨床家まで

世界中で読まれている雰囲気がプンプンしていて、学校でも上の先生ほど信頼している成書という印象のあるハリソンですが、公式としても対象を「医学生〜」に設定しているようで、研修医向け参考書を読む意識高い系、にはあたらないそうです。

(まあ、読みこんでいる医学生がいたら絶対意識高いと思っちゃうけど(笑))

 

これは知らんかったです。。。いや、知らなくてよかったのかも?

学生時代、時間のある時にハリソンで読んでいたいくつかの疾患については、ちゃんと病態からアプローチできる自信があるんですよね

なんていうコメントも掲載されていたり。いやー背伸びじゃ無いの??笑

 

医学生が成書を買わなくなった現状に対して誰も満足していない」

国家試験と対策の未来についてです。

「病みえ」などの手軽な参考書を中心に、疾患の典型的な症状を集めて学ぶのが国家試験対策の潮流なのは、間違いないでしょう。しかしその一方で必要なのは「本質的な理解」であり、ハリソンはその部分を持ち味にしているようです。

 

ハリソン側は、成書を売るためにターゲットから医学生を外したマーケティングをすることもできたけど、「先生達が学生に学んで欲しいこと」と「医学生が勉強している内容」のギャップを少しでも無くすために、そしてここに新たな市場を開拓するために、医学部生向けの販促を熱心に行なっているようです。

 

こういう話を聞くと、いいものに思えてきますよね(笑)

ウルフ・システムと呼ばれる、対象読者層の様々な人に査読してもらうことによってより良い本を作り上げようというシステムも魅力的です。

 

勉強会で尊敬している先生が・・・

臨床推論の勉強会で「何で〇〇という疾患が突然出てきたのですが?」という質問に対して、

こういう機会にハリソン内科学の〇〇の章を読んでみよう、症状がとても教科書的だということもわかるはず。ハリソンを読むことは、多分国家試験には役に立たないし、将来診療に役に立つかわからないけど、それでも英語の教科書を一章ずつ読むという体験は、筋トレのように基礎体力になって、のちのち効いてくると思う。 僕自身も学生時代には即物的な資料に飛びつきがちだったけど、いつかどこかで成書を読むということに切り替えないとついていけなくなる。医学的知識がどんどん増える時代だから、わからないこと不思議に思ったことをインターネットを使って英語でどんどん検索し文献を読んでいく力は、これからの医者にとって必須の能力になる。体験の新鮮なうちに、少しずつ英語の教科書に読み慣れていけるといいと思う。

こんなことを仰っていました。

いや、英語版の話では・・・ないんだけどなぁ・・・

 

ハリソンの本気を感じた。時間があれば是非読みたい

総評です。

自分たちはわかりやすく本質を捉えた教科書を作っているという自信を持ち、スタンスを変えて医学生の取り込みに苦心するハリソンの本気を感じました。

https://twitter.com/HarrisonsPIMbot/status/998341351656767488

 

うん、楽しそう。

成書で、英語で、臨床推論勉強会の症例限定でちょっと触れてみようかな。

 

(深入りしすぎないのが、長続きのポイントだと思ってる人(笑))