たまごのひよこ「医」日記

たまごのひよこ(twitter: @chicken7egg)です。学生時代に書いていたブログの保管庫。移転したのでリンク使えない部分もありご不便をおかけするかと思います。

Choosing Wiselyというキャンペーンを知る

先日お会いした先生に、「君に合うかは分からないけど、面白くて刺激になるかもしれない団体があるから一応教えておくよ」と教えていただいたChoosing Wisely JapanのStudent Committee (CWJ-SC).

その数日後くらいにFacebookで、普段は関西圏を中心に活動しているこの団体が関東で紹介&勧誘イベントを開くという情報を手に入れたので、これも何かの縁だと思い、早速参加してきました。

https://twitter.com/chicken7egg/status/1038294657015275520

昨日のこのツイートは会場の写真です笑

登戸という駅から右の屋根付きの歩道を歩いていくと150mほどのところに、こんな綺麗な病院が建っています。素敵。

駅から濡れずに行けるイケている病院ということを表したくて歩道を入れたのですが、写真家としては、屋根の入れ方の構図がダサくて反省しているなうです笑

せっかくいい天気で早く着いていたので、もっと色々試行錯誤するべきでした。

 

さて、Choosing Wiselyというキャンペーンについてですが、これは2012年に米国内科専門医認定機構財団によって始まった、本当に患者にとって必要な医療を考えて検査や投薬について様々な情報発信を行うことで、患者と医療職との対話を促進することを目的としたキャンペーンのようです。

事前に軽く予習で日経メディカルの連載を読んでいた際は、従来の医療への批判的な姿勢があり、少し尖っていてそんなに広く受け入れられないのではないかと思っていたのですが、実際に行ってみてStudent Committeeに発足から携わっている荘子先生の話を聞くと、その否定的な考え方は全く間違っていたのだなと感じさせられました。

 

無駄な治療を削るのは入口であって本質ではないため、結果として検査や治療を行わないことを目的としているのではない。その理由を考え話し合おうということに重点を置いているというお話でした。

Evidence-Based Medicineが登場してからその言葉が独り歩きしてしまい、エビデンスだけを第1に考え、頭を凝り固められてしまった我々に対し、EBMの本質に立ち返るきっかけを与えようとしてくれていること、またリアルワールドと理想との乖離に真摯に向き合っていることに共感できました。

 

そしてこのキャンペーンに学生が関わる意義について。

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03264_03

荘子先生の記事がこちらにありますが、学生にしかできないこととして

  • 患者のちょっとした疑問や気持ちを汲み取れる立場であること
  • 医師から指導を受ける中で、気軽に質問できる立場であること
  • 患者と医師の中間的な立場を取れること

がリンクの文中や発表でも挙げられており、本当にその通りだなと思いました。

 

Choosing Wiselyプロジェクトの特徴は、それぞれの地域・専門領域ごとに、医師・患者双方が問い直すべき"5つのリスト"を作り、エビデンスとともに掲載していることです。具体例はこんな感じ。

抗生物質投与を受ける時の、患者バージョンですね。争うのではなく、建設的な議論を促そうという姿勢が見えるかと思います。

 

CWJ-SCでも、日本の医学生が実習などで注意すべき点を5つのリストにまとめていました。

  1. 上級医に質問や提案を行うことをためらわない
  2. Evidenceのあるなしにかかわらず,情報を鵜呑みにしない
  3. Evidenceだけではなく,Valueの大切さも忘れない
  4. 患者さんとお話しできる機会を逃さない
  5. 検査や治療の妥当性を常に考える姿勢を失わない

漠然とポリクリをこなすだけでなく、こういったことを考えながら主体的に取り組むのが、今後主流となっていく参加型実習の醍醐味なのだと思います。

大切にしたいものです。このリスト、レイアウト整えてポリクリの名札の裏に入れるかっこいいカードにできないかなぁ。

 

多摩病院の先生からは、EBMやChoosing Wiselyを交えた、医学生・医師としての勉強についてのお話がありました。

学ぶ上での疑問は大きく

  • Background Questions(基本的な病態や治療の概念など、知識の問題)
  • Foreground Questions(この患者にどうEBMを適用・アプローチするかという問題)

に分けられ、グラフの通り初学者ではBackground Questionが多く、経験を積むにつれて徐々にForeground Questionの割合が大きくなっていくということでした。

初めは教科書やガイドライン、マニュアルからBackground Questionを解決していき、基礎を固めてForeground Questionに取り組む土台を作ること。

 

だから学生のうちはNEJMを毎週読んでも意味ないし、岩田健太郎先生が「論よりハリソン」と仰られるようにまずは知識を固めて行かなくてはいけないというお話でした。

基本を固めて、Foreground Questionで更に学びを深められるレベルまでステップアップしたいという堅実な誓いを新たにしました。

 

9月は、今の所順調。

頑張ろう。