鑑別や思考プロセスを書くカルテ【39日目】
血液内科2週目の木曜日です。イチロー選手の引退は当然ですがこちらでもニュースになっていて、Attendingの先生がわざわざ雑談の話題に出してくれました。
メジャーの歴史の中でも特に素晴らしいプレイヤーとして名前が残るだろうとか、最近の感じだとそろそろ通用しなくなりそうだとか、このタイミングで東京で引退というのはとてもいい引き際だねとか。
そんなイチロー選手が自分のことを「有限不実行」と言っているのは、実にイチロー選手らしくて本当にかっこいいなと思いました。「言わなければここまでできなかった」というのは、間違いないでしょう。彼とは比べ物にならないほどスケールは小さいけれども、自分も立てた目標に近づく努力をし続けられる人間になりたいものです。
さて、2週間の課題として挙げていた学会発表の準備と追いコンの動画編集ですが、どちらも終わる目処が立ちました!!!
学会発表準備については、今日この後研究室のSkypeミーティングで予演会をしていただくことになっています。大幅修正を加えてくださった先生に感謝しかありません。
追いコンの動画編集は、この間ほぼ徹夜をして8時間ほどでなんとか形にしました。こちらも日本で素材(先輩や後輩からのメッセージなど)を集めてくれた友人たちに感謝です。
そんなわけでまた時間に余裕が出てきたので、Fellowの先生に貼り付いて、「その患者さん私に担当させてくれ」「今のプレゼンとカルテのフィードバックくれ」とお願いしまくっています。
先日Firecrackerが臨床にも即していて有用な気がするなんていう記事も書きましたが、何か発言できそうだと思ったタイミングでFirecrackerで習得した知識を披露してさらなる試問、議論あるいは指摘を生み出すという活動もはじめました笑
そこでカルテについて改めて教えてもらったのが、「鑑別や思考プロセスをもっと書くようにする」ということでした。
昨日担当した患者さんは検査上血球減少が認められ、末梢血を覗いてみたら芽球がいたというかなり典型的な症例だったので、コンサルノートの形で末梢血所見や議論の結果決まったこと、調べた確定診断までの道筋や今後の方針を書き並べておいたのですが、、、
「医学生としては、血球減少からはどういう疾患が考えられるのか、例えば今回の場合なら感染症や膠原病、他の悪性疾患で頻度の高いものも挙げて、どの疾患が一番考えられるかという広い鑑別から入るべき」
「広いところから狭める練習をしていくと、徐々に考え方が上手くなっていく」
「本当は医者になってからもやるべきなんだけど時間がないから書けていない人が多いよね、僕もたまに時間があるときにやるようにしているけど考え方や頭の中が整理できるから良い」
というような指導を受けました。
確かにこっちの科に来てから、総合内科4週間総括で身につけたと豪語していた「考える力」すなわち「知識以上に大切な大局観の掴み方、情報の集め方や解釈の仕方」のトレーニングを完全に怠っていた・・・
日本の大学病院の実習でも、他院から紹介されてくる難しい症例や既に診断がついている症例が中心ということでこのプロセスは疎かにされがちなことが多いと思います。
「医学生として」のカルテの書き方なんて指導された記憶がないし。
だた、やるかやらないかで大きな差がつくところだな、と改めて感じました。
とりあえず今日の症例では教えてもらった通りにカルテを書いてプレゼンしたのですが、やっぱり考えながらの方が患者さんのことも把握できるしプレゼンの質も高い気がする!!
しっかり持ち帰りたいことだったので、記録に残しておきました。それでは。